最初にCSVファイルの内容を表示するコマンドを実行してみましょう。
　なんでもよいのでCSV形式（複数のデータを、 , で区切ったもの）のテキストファイルを用意してください。仮にファイル名を C:\WORK\DATA\testdata.csv にしたものとします。

　そうしたらH2 Console画面のテキストボックスに、次のように入力し実行してください。

SELECT * FROM CSVREAD('C:\WORK\DATA\testdata.csv');

　実行結果として、testdata.csvの内容が表示されます。

　例として、次の内容の testdata.csv を作成し、実行した結果を載せておきます。

�@,A,01,'01'
�A,B,02,'02'
�B,C,03,"03"
�C,D,04,'04'

　この実行結果で注意がいるのが、結果表示の下に 3行、10ms と表示されている点です。サンプルCSVデータは4行あるのに、3行と表示されています。結果表示部分は4行表示されているように見えますが、先頭行は色が変わっています。

　これは CSVREAD の仕様のためです。先ほどの CSVREAD の最も単純な書き方、 CSVREAD('対象ファイル名') では、ファイルの先頭行は項目名と解釈されるのです。そのため一見データにしか見えない、例えば"�@"もそういう項目名と解釈されているのです。

　もう一点の注意点が、データと解釈された結果の2行目、�B,C,03,03の行とその他の行の違いです。2行目は最後の項目に対し、データを " で囲んでいます。その他の行は ' で囲んでいます。
　2行目は " で囲まれた中の 03 だけがデータと認識されていますが、その他の行は ' 自体もデータと解釈されてしまっています。つまりもしも文字列を囲むときは（例えばデータ中に , 自体を含むなど）、デフォルトでは " で囲む必要がある、ということです。

　これらについては次に、 CSVREAD の詳細な記述方法を説明するので、これを参照してください。

　ここで「項目区切り文字を指定できる」のがポイントです。例えば項目区切り文字に char 関数を使って char(9) と指定すると、入力テキストファイルとしてTAB区切りのファイルが使えます（TABを表すASCIIコードは9なので、この値を char 関数の引数に指定します）。関数の名前はCSVREADですが、任意の区切り文字が使える、ということです。

　上記を踏まえて上で例示した「サンプルCSVデータ」を、次の CSVREAD 関数で処理した結果を示します。

SELECT * FROM CSVREAD('C:\WORK\DATA\testdata.csv', 'A,B,C,D', null, null, '''');

　データ項目名としてA、B、C、Dを指定しました。データ項目名の並びを、カンマ区切り文字列として指定します。そのためデータ項目名の並び全体を、SQLの引用符である ' で囲む点を注意してください。
　文字コード、区切り文字は無指定なので、デフォルト値が使われます。
　引用符には ' を指定しました（指定のとき引用符に指定する ' を ' で囲むため、エスケープさせるために ' を連続させています）。
　エスケープ文字は無指定です。

　今度は先ほどの例とは違い、全ての行がデータとして扱われています。また引用符に ' を指定したので、今度は3行目は " もデータとして解釈されていますが、その他の行は ' はデータと解釈されていません。

　これまで説明したように CSVREAD は基本的に、SELECT文と組み合わせて使います。従ってこれにさらにINSERT文を組み合わせることによって、テキストファイルの内容をH2 DBのTABLEにLOADすることが出来ます。

　例ではtestdata.csvという名前のテキストファイルで説明してきました。
　これに対応した、testdataというTABLEがH2 DB上にCREATE済と仮定します。そうするとテキストファイルからLOADするSQLは、簡単な記述法だと

INSERT INTO TESTDATA
    SELECT * FROM CSVREAD('C:\WORK\DATA\testdata.csv');

や、詳しい指定をした

INSERT INTO TESTDATA
    SELECT * FROM CSVREAD('C:\WORK\DATA\testdata.csv', 'A,B,C,D', null, null, '''');

となります。
　なおデータ項目名はテキストファイル中に含むか、もしくはCSVREAD中に指定します。このデータ項目名と、INSERT先のTABLEに定義されているカラム名は同じである必要はありません。例示した記述方法では、単純にファイル中のデータ形式と、TABLE定義のカラムデータ形式が一致していればINSERTされます。

　次はテーブルの内容をテキストファイルに出力（UNLOAD）する、 CSVWRITE 関数について説明します。

　CSVREAD関数のときは、それをSELECT文に埋め込む形で使用しました（さらにそのSELECT文をINSERT文に埋め込んで使ったり）。
　 CSWRITE 関数の場合、H2 Consoleから単独で使用します。関数呼び出し命令のCALL 文を使い、 CALL CSVWRITE・・・ と記述します。

　少し上の「・テーブルへのLOAD」で説明したときの、testdataというTABLEを前提に、これをテキストファイルにUNLOADする方法で説明していきます。

　もっとも簡単な指定方法ですが、H2 Console画面のテキストボックスに、次のように入力し実行してください。

CALL CSVWRITE('C:\WORK\DATA\testdata.csv'), 'SELECT * FROM TESTDATA');

　実行結果として、C:\WORK\DATAに、testdata.csvというCSV形式のテキストファイルが作成されます。

CSWRITE 関数の第一引数で出力先ファイル名（フルパス指定）、第二引数で対象TABLEからのクエリーを記述します。
　例では testdataテーブルの全データ、全項目を出力しました。第二引数にクエリーとしてSELECT文を書くので、対象データを条件で絞り込んだり、特定項目だけを出力するような指定もできます。

　それでは次に、 CSVWRITE の詳細な記述方法を説明します。指定内容は CSVREAD のときとほぼ同じです。

　第2引数の「出力対象クエリー」の意味を考えてもらうと気付くかと思いますが、CSVWRITE は実は、テーブルの内容をテキストファイルに出力するのではないのです。正確にはクエリーの結果をテキストファイルに出力するのです。

　ということでクエリーの内容次第で、
・対象データを条件で絞る
・対象データを並べ替えておく
・複数のテーブルを結合（JOIN）させる
・複数のテーブルを連結（UNION）させる
といったことを行い、その結果をテキストファイルに出力できます。

　またCSVREADと同様にCSVWRITEも、「項目区切り文字」を指定できます。そこで例えば項目区切り文字に char 関数を使って char(9) と指定すると、結果の出力テキストファイルはTAB区切りのファイルとして出力されます（TABを表すASCIIコードは9なので、この値を char 関数の引数に指定します）。関数の名前はCSVWRITEですが、任意の区切り文字で出力出来る、ということです。