次にH2 DBで管理できる権限の種類について説明します。

　H2 DBで管理出来る権限は、テーブルに対するものだけです。そしてOracleやMySQLのような細かい権限設定は出来ません。必要最低限の権限設定に絞ってあると言えるでしょう。

　「管理者権限の内容」でも軽く触れておきましたが、基本的に初期状態では次の通りです。
・管理者権限を持っているユーザーIDは、そのデータベースに対して何でも出来ます。
・一般ユーザーは管理者ユーザーIDから権限を割り振られないと、テーブルの作成以外何も出来ません（自分で作成したテーブルに対しても、データ操作も出来ません）。

　H2 DBで管理できる権限、つまりテーブルに対して設定できる権限は次のものだけです。

　あるテーブルに対する権限を割り当てる、付与するには、 GRANT 文を使用します。
　また付与済みの権限を剥奪するには、 REVOKE 文を使用します。

　「■権限の管理」で権限付与や権限剥奪時の、対象ユーザーの説明で ROLE（ロール）と言う言葉が出てきました。ROLE（ロール）を一言でいえば、役割です。
　これはMySQLでは出てこない概念ですが、複数ユーザーIDを定義して使い分けるときに、うまく使うと大変便利な概念です。
　例えばGRANT文やREVOKE文で権限管理をする場合、複数ユーザーに対して一度に権限設定をすることは出来ません。権限設定をしたいユーザーIDの数だけ、これらのSQLを実行する必要があります。

　ROLEを使う場合の要点はユーザーIDを分類分けし、その分類毎に権限付与を行えるようにする、というものです。
　典型的な例としては、データの更新は出来ないけれども参照だけは出来るユーザー分類を作る、というものです。（マニュアルにも出ているのですが）この参照のみ可能なユーザー分類にREADONLYという ROLE 名を付けることにします。
　この場合はGRANT文の対象ユーザーを指定する部分にROLEを使い、例えば
GRANT SELECT ON 対象テーブル1,対象テーブル2,・・・ TO READONLY
とします。
　そしてユーザーIDを作成したあとGRANT文を使い、
GRANT READONLY TO 対象ユーザーID
としてROLE名を割り振ります。これによってユーザーIDを分類分けし、その分類（役割）に対応したROLE（役割）に参加させることが出来ます。

　結局のところ、ユーザーID毎にGRANT文を発行する必要はあります。その内容がテーブルに対する権限を直接指定したものか、参加させる役割を指定するか、の違いです。
　例えば新しいテーブルを作成したときに、そのテーブルに対する権限設定をユーザーID毎に設定するのではなく、ROLE毎にまとめて設定できます。
　新しいユーザーIDを作成したときも、既存テーブルに対して複数の権限設定を実施する必要はありません。ユーザーIDが属する分類（ROLE）を設定するだけです（ユーザーIDを作成する場合、そのユーザーIDがどんな分類に属するかは、事前に決定されているはずです）。

　構文を見て分かるように、既存のROLEに対してさらに別のROLEを割り振ることができます。ということは階層構造を持った権限構造を作成することができます。